昨年秋以降、200人以上がだまされ、被害総額は2億円を超えるとみられる。男の所在はわからなくなっている。県弁護士会は被害者相談会を開いて、被害対策弁護団を結成した。大学生らの債務整理を進める一方で、詐欺容疑での刑事告訴を検討している。
男は「知人のために金がいる。金を集めていることを見せるために借り入れの明細書が欲しいので、消費者金融でカードを作って渡してくれないか。5万円払う」などと誘っていた。その際、「金はすぐに返済しておくので心配いらない」などと話していた。
カードを作った学生らは謝礼を受け取り、割のいいバイトとして口コミで広がったが、後日、消費者金融から返済を督促され、金をだまし取られたことに気がついた。ある男子専門学校生(21)は、150万円をだまし取られたが、「毛利から、ほかの人を探してきたら返済してやる」と迫られ、友人数人を紹介したという。
福岡市の男子専門学校生(21)は、級友から「おれもやったから大丈夫」と言われて信用し、JR博多駅近くで「毛利」と会った。「契約書類の職業欄には、建設会社員と書き、年収は200万円超に」と指示され、駅近くの無人契約機で、融資枠計60万円分のカード2枚をつくり手渡した。
この専門学校生は60万円を引き出された。専門学校を中退し、工場で働いて返済してきたが、収入が足りないため現在は新しい仕事を探している。「毛利も、誘った級友も許せない。しかし、こんな話に手を出した自分も愚かだった」と悔しさをにじませた。
また福岡市の男子大学生(20)は、大学の先輩から「10万円が稼げる仕事がある」と誘われ、何度も断ったが、先輩から「すでに紹介料をもらっている」と押し切られた。
(読売新聞より)
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